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2007年05月05日

「襲撃者の夜」感想(前編)

肌を粟立たせながら読んでいます。
ケッチャムの文章は(金子浩氏の効果的な訳文と相まって)ページを捲らせる力が半端じゃないので、ともすれば作品の勢いにまかせて一気に読み進めてしまいます。
そこをグッと抑えて、一章を読み終わったら戻って読み返すぐらいの姿勢で熟読中。

久しぶりの新刊ですからね、この貴腐ワインをじっくり味あわなくてどうしますか。
offspring_2.jpg
ジャック・ケッチャム「襲撃者の夜」(扶桑社ミステリー文庫)

原題は「OFFSPRING」
こちらでも書きましたが、「オフシーズン」の続編です。
「オフシーズン」を未読の方へ
先日の検索ワードTOP20で上位に入った日本未公開ホラー映画「THE HILLS HAVE EYES」。
「なんで公開しないの!?観たいのに!」と興味津々で地団駄踏みつつこのタイトルで検索したあなた。
「THE HILLS〜」の原点「サランドラ」や「クライモリ」、そして「悪魔のいけにえ」とそのリメイク「テキチェン」連作が好きな、「やっぱホラーは人喰い一家モノにかぎるよな」という、あなた。

追記以降の感想には、「オフシーズン」のオチを含むネタバレが満載です。
「襲撃者の夜」があまりにもストレートな続編なので、前作のバレなしに語る事は不可能なんですよ。
だから、前作を未読の方は回避が望ましいです。
あるいは、速攻で「オフシーズン」を読んでください。(推奨w)
offseason_2.jpg
あなた達ならば、至福の読書時間を約束します。

では、全然途中なのに我慢出来ずに感想UP。
結末を迎える前に、印象を語っておくのも面白いかな、と。(俺が)
現在、第四部「夜」の中盤です。

前作「オフシーズン」もそうだったけど、やはり導入部は食欲に負けたこどもたちのつまみ食い。
ただし喰うのは冷蔵庫の中のプリンとかじゃなく、生きたニンゲンですが。
今回は、さすが続編です。最初から飛ばしてます
(やはり肉料理の下ごしらえには血抜きが大事)

前作で全滅したかに思えた人喰い一家ですが、どうやら妊娠していた少女が大怪我を負いながらも生き延びていたようです。
(これは後で『オフシーズン』を再読しなければ!)
そして海岸沿いに遠くはカナダにまで移動し続けながら、生んだり、あるいは子供をさらって《家族》に加え、生ませたりしながら10年。
その間、10年前の教訓を生かして目立つ《狩り》は避け、なるべく動物などで食いつなぎながら、とうとう《家族》は前作の舞台、デッドリヴァーに帰還する・・・

なんと、前作で保安官だったピーターズさんが再登場
・・・嗚呼、またこの人酷い目にあうのね(涙)
ブロディ署長(@JAWS)並にツイテナイ人だ・・・
ただし、役割はブロディさんとはかな〜り違いますが。
最初から残虐な殺人(奴らからすれば《狩り》と《調理》なんだけど)が起こるので、警察もすぐに総動員で動き出します。
田舎町ですから、10年前の惨劇も記憶に新しく、既に引退していたピーターズはその経験者として、請われて捜査に協力する形です。
「狼少年」扱いのブロディさんに比べると、恵まれてる・・・のかな?^^;

主要登場人物(あるいは犠牲者)の、ゲームデザイナーのデイヴィッドとエイミー。
この若い夫婦がデザインし、任天堂を打ち負かした(ホントにそう書いてあるのw)ホラーアドベンチャーゲームのタイトルが
「暗い森」っていうのは、これは訳者の茶目っ気?(だとしたら、とっても解ってらっしゃるw)
コレ、原書ではどう記載されてるんでしょうね〜?
文字通り「DARK WOODS」なのか、全然違うのか・・・
まさか、「WRONG TURN(クライモリ原題)」じゃないよね?(だったら超素敵)

で、そのディヴィッドが、早朝のテラスから、遠くの野原に髪が腰まである少女を目撃。(ぎゃー!)
本人は「森の妖精を見たよw」とか言ってますが・・・違うから!
それ全然違うから!!(泣)

今回、人喰い一家の面々の内面描写がかなり、増えてます。
彼らなりのルールや信仰みたいなもの(迷信の方が正しいかな)が前作より克明に描かれていて面白い。
前作での一家壊滅を《最初の涙の夜》と呼んでたり、やっぱりホモ・サピエンスなんですねぇ、コイツラも。
上記の一家再興の物語も、前作の唯一の生き残り《ウーマン》の回想だったりします。
そして、その《最初の涙の夜》の教訓からか、銃も集めるようになってました。
経験からの学習・・・ニンゲンですねぇ。
(マトモに使えるのかは、まだ?だけど)

前回は男社会な一家だったけど、今回は女社会なのも面白い差異。
種付けのためだけに飼われている男性がいたりとかね。
(彼の呼び名は《カウ(牛)》・・・哀れ・・・ああはなりたくないナ・・・)
赤ちゃんに対する解釈(迷信)とか、女性ならでは・・・なのかな?

違うといえば犠牲者サイドも。
前作はかなりステロタイプだったけど、それに比べてとってもケッチャムらしいキャラクターになっています。
特に、たまたまディヴィッド夫妻宅を訪れていたクレア&ルーク母子。
現在離婚調停中で、旦那は案の定自己中心なパラノイア気味DV野郎で、裁判所の接近禁止命令を無視して接触を図ります。
いかにも、ケッチャム!

そして、前作になかったのが「子供」(ルーク)と「赤ちゃん」(デイヴィッド夫妻の娘メリッサ)という要素。
こういうジャンル小説だと、所謂弱者―――子供や赤ちゃんが絡むだけで、焦燥感が全然違います。
しかも、単に殺される可能性というだけでなく、この《家族》は他人の赤ちゃんや年端もいかぬ子供をさらい、獣じみた人喰いの蛮人に育てているわけですから、気が気じゃないどころの騒ぎじゃありません。

さぁて、そろそろ《家族》による襲撃が始まりそうです。
前作のような単純な奇襲ではなく、何やらを仕込んでいる様子・・・
一方警官隊は前作で奴らが海辺の洞窟に潜んでいたので、海岸沿いを大捜索中。内陸部は思いっきり手薄です。(嗚呼・・・)
そして、例のDV野郎も刻一刻と接近中・・・

うわぁドキドキしてきました。では、いずれ後編にて!
posted by るしは at 00:00| Comment(5) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
るしは先輩、熱いっス!
なんか、上読んでいるとものすごくドキドキするんで
本編読んではみたいのですが・・・迷うな。

あ!でも「ビギニング」がぬるいと言っていたホラ友(女子)には熱くプッシュしておきましたよ、先輩!
Posted by kurosui at 2007年05月05日 00:32
更新してない間に古本屋巡りして、ケッチャムはすべて確認済みっすよ〜
今月はもう本に回す金がないので来月刈り取りに行って来ます。

しかしケッチャムという名前からしてヤバイ感じがするのはぼくだけでしょうか? ケッチャム……うん、やっぱり気味悪い。
Posted by あぷろん at 2007年05月05日 08:04
>>kurosuiさん
ホラ友さんの評価が気にかかるところですw

kurosuiさんも、思い切ってどうですか?「オフシーズン」!
かな〜りグロいですけどね^^;
もし映像化されたら、「テキチェン・ビギニング」よりグロいかも・・・(ぼそっ
Posted by るしは@管理人 at 2007年05月06日 00:22
>>あぷろんさん
その予感は、多分、正しいですw
あらゆる不道徳と理不尽と残酷が詰まってる、そんな作品群ですから。
でも、不思議と著者自身はその真逆の人物に違いないと確信させる、不思議な作家ですよ。
「合わない人はまったく合わない」
「合う人は癖になる」
そんな感じです^^;

確かに変わった名前ですよねぇ・・・特に「ム」が怪しい!(笑)
Posted by るしは@管理人 at 2007年05月06日 00:28
るしは様

 過去記事に失礼します。
先日アガサさんのところでもアップされていた「隣少女」を読み終わり、(おそらく2回目ですがなんせ脳内ゾンビのため所々しか憶えていなかったというおまけ付きでした)久し振りにどんよりしています。そのうえ映画化!どうすんの?って感じです。
で、ちょっと触手を伸ばそうと「オフ」「襲撃者」をセット予約してきました。なんと図書館においてありました〜。読む前にるしはさんの記事をおさらいさせてもらい、ますます「読みて〜」と首を長くしています。教え通り巻末は読みません!言っといてもらってよかったです。(けっこう巻末の解説を読んでしまうほうなので…)
Posted by フレコ at 2007年11月08日 20:48
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