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2007年06月06日

スターシップ・トゥルーパーズのこと

観終わった後、胃の辺りがズッシリ重く感じるような、そんな「重たい何か」を喰らった映画が何本かあります。
例えば、「ヒッチャー」(原題:THE HITCHRE)
例えば、「ジャッカー」(原題:COHEN AND TATE)
例えば、「失踪」(原題:THE VANISHING)
そして、
starshiptroopers.jpg
「スターシップ・トゥルーパーズ」(原題:STARSHIP TROOPERS)
(画像がブルーレイなのに深い意味はありませんw)

この映画の一般的感想は
「無駄にグロい」
「虫キモい」
「軍の戦略が馬鹿」
「パワードスーツどこいった」
「なにその唐突なご都合ラスト」

って感じだと思います。(るしはの周りはそうでした)

だから、これから書く感想は、案外大きく間違ってるのかもしれない
少なくとも、同じ種類の感想を私は見たことありません(汗)
そんなわけで感想を追記で。
旧ブログとかでちょろんと触れたりしてたので、まぁ繰り返しになるのは勘弁してください。
だってふぉんださんの感想に触発されちゃったんだモン☆
(あと、昔kurosuiさんの感想にコメントしようとして纏らなくて挫折してたんですよね、確か。その雪辱も兼ねています^^;)

あと、オチに抵触しますので、バレ嫌な方は以下、回避でよろ。

では感想いってみます。

まず、この映画を指して
「なんだロボコップと同じ手法じゃん。進歩ねー」
という感想も耳にします。
確かに、劇中の世界のコマーシャルフィルムを挿入し、リアリティを高める(あるいは痛烈に皮肉る)のは同じ手法ととられるかもしれない。

しかし、最後のオチが、その二番煎じに思えた手法を、まったく別物に変えてしまっている。(と、るしはは思っています)
「ロボコップ」は、ただ劇中のCMを挿入していただけ。
「スターシップ〜」が決定的に違うのは、

この「スターシップ〜」という映画自体が、この劇中の世界で作られた

「戦意高揚映画」

だということ。

その前提で本編を観てみると、さっきまでの突っ込みどころが、まったく逆の効果を及ぼします。

「無駄にグロい」
→ 戦意高揚映画でこのグロさ。
つまり、こういう凄惨な犠牲を隠し通すことが出来ない戦況の実情が予想されます。

「虫キモい」
→ キモい上に数や攻撃力においても圧倒的なバグズ。
「戦意高揚映画」の性質を考えると、案外実態はキモくないかもわかりませんね。(敵は醜くがセオリー)
ただし、戦力差において圧倒的なのは間違いないでしょう。
それこそ映画のバグズ以上に。

「軍の戦略が馬鹿」
→ 太平洋戦争末期に日本軍と同様、もはや軍としてまともに機能しないほど疲弊しているんじゃないでしょうか。
繰り返される歩兵の突撃作戦は、もやは前線兵士の精神論と犠牲的特攻しか手立てがない状況を仄めかしているのかもしれません。

「パワードスーツどこいった」
→ 勿論そんな予算も技術もない。
映画のラストに出てくる新兵装の数々なんて、絶対嘘でしょ。
そもそも、あんな高性能戦艦があるかも怪しい。

「なにその唐突なご都合ラスト」
→ 「戦意高揚映画」としてのオチが「奴らは人間を恐れている」
・・・希望を持たせるEDにするに、そんなイイカゲンで根拠のない理由付けしか出来ないという現実。

・・・こんな戦意高揚映画が作られる世界の実情(そして戦況)が幸福なはずはなく、むしろ、絶望的に違いなく・・・
そう考えると、とてつもなく重いものがズッシリ。

間接的に絶望的な未来を描いたダークなメタフィクション映画

というのが、るしはの感想です。
アラやご都合主義、そこらを批判するのは、完全に的外れ。
だから、本編の直接的表現だけをつかまえて、やれ「反戦映画」だの「右寄り」だのという議論も、この作品の構造を前にしてはナンセンスなのだ。

メタフィクションにして、外側(実世界)をまったく描いていないこの作品は、ロジックとして完全無欠なのです。

・・・そんなこと考えてこの映画観てるのってオイラだけ??
posted by るしは at 00:00| Comment(7) | TrackBack(3) | 映画雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
出ました!!るしはさん節「スタシトパ」!!
さすが、着眼点がひと味違うタケヤ味噌ですね。
「戦意高揚映画」
「間接的に絶望的な未来を描いたダークなメタフィクション映画」・・・なるほど

今度、るしはさん流目線でこの映画を観直してみます!
Posted by ふぉんだ at 2007年06月06日 19:50
>劇中の世界の中で作られた「戦意高揚映画」
なるほどー!
目からウロコがボロボロ落ちる勢いです!
そうやって見ればかなり映画自体の意味が変わってきますね。
わたしももう一回ちゃんと見直してみよう・・・。

それにしても映画の構造まで考えるなんて、その発想はなかったわ!
恐ろしい子!
Posted by kurosui at 2007年06月06日 20:55
>>ふぉんださん
「スタシトパ」!
いや〜「スターシップ〜」ってあんまり略称聞かないなぁ、かと言って思いつかないなぁ・・・なんて思っていたのですが。
「スタシトパ」!覚えておきます!

それにしても、ホント、私と同じ感想って見ないんですよ。
私自身、自分で「こう」と思いつくと、結構曲解してしまうきらいがあるので、今回かなり勇気を出して断言してみました。
なので、かな〜り、ドキドキしております。
こんな緊張した記事UPは久しぶりです^^;
Posted by るしは@管理人 at 2007年06月07日 00:54
>>kurosuiさん
一応、根拠としては、映画内のナレーションが主人公達の個人名に言及するところから「作品全体が劇中劇」=「戦意高揚映画」説を唱えてるわけですが・・・

「見直してみよう」なんて言われると、なんか逆に自分で自信なくなってきたわ!(←チキン)

やはり、人様の感想読んだ後に感想書くのってドキドキするなぁ。
心臓に悪いデスネ^^;
Posted by るしは@管理人 at 2007年06月07日 01:03
ありゃ?誰かお忘れでないですかい。スターシップトゥルーパーズといえばあちし、いわゆるPONでしょうに。それを皆さんでさんざん盛り上がって。自分も混ぜてくださいよ。なんせ自分、自称ブログ界のスカイマーシャル大将、憎たらしい敵の本星にもかかわらず星ごと破壊せず、わざわざ占領しに出張る優しい心遣い!なかなか出来ません。スターシップ〜はわざわざ最初に「ロバート・A・ハインライン」がこんな小説を書き上げた!なんて謳っているところが好きっす。P監督は全然この原作者のことを尊敬していないよね。今から俺なりに紹介するけどさ〜こいつこんな小説書いてヤンのへへ!って感じが非常に伝わります。るしは氏ご指摘通り、>戦意高揚映画が作られる世界の実情(そして戦況)が幸福なはずはなく、むしろ、絶望的に違いなく・・・まったくもっておっしゃるとーり。死んだ虫だけが良い虫だ!
Posted by PON at 2007年06月07日 22:45
えー連投すみません。
先ほど暴走気味でしたので追記おば。
自分「SST」のレビュー書いていたつもりでいたら
なんとドマイナーな「2」のほうでした。
ひとまずTBさせてください。

さて
「作品全体が劇中劇」=「戦意高揚映画」説
ですが全面的に賛成であります。
少々、論旨とずれるかも知れませんが
「映画版超時空要塞マクロス」も
「映画版機動戦士ガンダム」も
TVがリアル戦史で映画版はいずれも
「戦意高揚映画」もしくは戦後に作られた
文部省推薦の「国策映画」なのだという
説明を聞いたことがあります。
A級軍機のGファイターを隠すために
コアブースターにしておいたと・・
(若干苦しいけどw)

>メタフィクションにして、
>外側(実世界)をまったく描いていない
すごい。ひとことのもとに言い切りましたね。
だからスゲーなア。るしは氏は。
Posted by PON at 2007年06月07日 22:53
>>PONさん
お、PONさんのお墨付きをもらったということは、この説に自信を持ってしまおうかしら!?

と、ホクホクしてたら、なんか福井氏が同じ趣旨の感想を書いているとの情報が友人より寄せられました!
リメイク戦国自衛隊で(どこまで絡んでるか知らないけど)「だめだこりゃ」と思った福井氏ですが、ちょっと見直した!
そのうちちゃんと小説も読んでみようっと。
Posted by るしは@管理人 at 2007年06月09日 00:23
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